見当識障害とは?原因や症状、対処法を解説!

見当識とは、現状を把握する能力を指します。

すなわち見当識障害とは、自分がどのような状況にあるのか把握できなくなる障害です。

一般的には認知症の初期症状・中核症状と言われており、見当識障害=認知症と考えて差し支えありません。

家族が見当識障害を発症した際は、見守りと生活支援が不可欠となります。

本記事では、見当識障害の原因や症状・対処法をご紹介します。

見当識障害は認知症によって引き起こされる

見当識障害は、認知症患者に多く見られる障害です。どのような障害なのか、具体的に見ていきましょう。

見当識とは状況認識能力のこと

現在の「時間」「場所」や、周囲の人の顔・名前などを認識する能力が「見当識」です。

見当識障害は、これらの認知が曖昧になってしまう障害を指します。

見当識は、物忘れと並ぶ認知症の中核症状です。

しかし物忘れは老化現象の一つでもあり、物忘れが激しいからといって即認知症と判断することはできません。

これに対し見当識障害は、老化では見られない症状です。

ごく普通に過ごしている場合でも、見当識障害の傾向が見られる方は認知症が疑われます。

アルツハイマー型・レビー小体型認知症に多く見られる

見当識障害を発症しやすいのは、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症です。

アルツハイマー型認知症の場合は、物忘れと見当識障害を併発するケースが少なくありません。

アルツハイマー型認知症では、まず時間や場所の見当識が失われます。程度はさまざまですが、人についての見当識は比較的長く保たれることが多いようです。

一方レビー小体型認知症の場合は、物忘れよりも見当識障害が激しくなる傾向が顕著です。

初期段階から人の顔が分からなくなったり、家族の見分けが付かなくなったりするケースが見られます。

見当識障害の症状

見当識障害は「時間」「場所」「人」の認知に表れます。どのような様子が見当識障害に該当するのかを見ていきましょう。

1. 時間の概念がなくなる

見当識障害の初期に出やすいと言われるのが時間の概念の喪失です。

日付の感覚がなくなったり、時間を読めなくなったりします。

症状が進行していけば、昼夜の区分や季節の変化を認識することも困難になるでしょう。

例えば真夜中に起き上がって朝ご飯を食べようとしたり、暑い季節に真冬のような格好をしたりしてしまう方は、時間の見当識が失われていること考えられます。

2. 場所が分からなくなる

場所の見当識障害では、道順が分からなくなる・街並みを見てもどこにいるか分からなくなるといった症状が挙げられます。

「散歩に行ったきり帰ってこないので探したら、近所で迷子になっていた」「家から遠く離れたところまで歩いて行ってしまった」などは、自分がどこにいるか認識できなくなっているためです。

症状が進むと家の中でも迷ったり、自宅にいるのに「家に帰りたい」などと言ったりするようになります。

3. 人を認知できない

症状が進むと記憶の大半が失われ、人の顔を見ても判別できなくなります。友人・知人はもちろん、家族の顔さえも分からなくなるでしょう。

アルツハイマー型認知症の場合、人の見当識障害は最終段階であるとの見解が多いです。

とはいえ、「認知症が進んでいるけれど、家族の顔は分かるみたい」と安心するのは早計です。

アルツハイマー型認知症の方は、知らないのに知っているふりをすることがあるためです。

その場合、ごく自然に振る舞っているように見えても、実際には相手が誰であるのか分かっていません。

家族が見当識障害になったときの対処法

家族が見当識障害になってしまった場合は「否定しない」「見守りを強化する」「病院を受診する」といった対処法があります。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

否定しない

見当識障害になると、現実とちぐはぐな認識を持つようになります。家族が何か間違ったことを言っても、頭から否定するのは控えましょう。

何か口にするたびに否定されてしまうと、本人もつらく不安になります。

家族が言うことはひとまず受け入れ、刺激を与えないようにしてください。

見当識障害を発症している方は、間違ったことを言っているという認識がありません。

否定し続けると、家族の絆や信頼関係にヒビが入ってしまいます。

見守りを強化する

見当識障害を発症したら、家族の様子に異変がないか細かくチェックしましょう。離れて暮らしている場合でも、なるべく小まめに様子を見に行くのがおすすめです。

見当識障害が進むと「夏なのに厚着をする」「冬なのに薄着をする」などをして体調を崩す可能性があります。また1人で外出すれば、迷子になって帰れなくなる可能性もあるでしょう。

体が健康で自由に動き回れる人が見当識障害を発症すると、思いもよらない危険な行動を取ることがあります。見守りに限界がある場合は、施設への入所なども検討してください。

医療機関を受診する

見当識障害が認知症によるものだった場合、早期発見・早期治療が症状の進行を遅らせるカギとなります。家族の様子に異変が見られた場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。

病院を受診する場合は、まずかかりつけ医に相談するのがおすすめです。かかりつけ医がいない場合は、認知症専門医が常駐している医療機関を探してみてください。

ただし本人に「認知症の疑いがある」などと言うと本人を怒らせ、受診を拒否されるかもしれません。受診の際は認知症という言葉は出さず「体調を診てもらおう」などとぼかして伝えてください。

見当識障害が疑われるときは医療機関へ

見当識障害は、時間や自分の周りの物・人が分からなくなる障害です。認知症の中核症状であるため、発症したら速やかに医療機関で受診することをおすすめします。

見当識障害を放置すると、症状はどんどん進行してしまうかもしれません。家族は本人が不安・危険にさらされることがないよう、連携して見守りを強化していく必要があるでしょう。

この記事を書いた人

近畿老人ホーム紹介センター編集部

近畿老人ホーム紹介センター編集部が監修するコラムです。 近畿老人ホーム紹介センターは、奈良県を中心に10年以上の老人ホーム紹介事業をおこなっている経験から、介護業界の情報を熟知したスタッフが揃っています。 老人ホームや介護施設への入居を考えるうえで役立つ情報をお届けします。 ・奈良県唯一の老人ホーム専門誌「シニア住宅情報」発刊 ・公益社団法人 全国有料老人ホーム協会 高齢者向け住まい紹介事業者 ・高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)登録紹介事業者

\ SNSでシェア /
見当識障害とは?原因や症状、対処法を解説!
カテゴリ一覧