グループホームと有料老人ホームの違いは?
介護施設にはさまざまな種類があります。そのため、入居を検討する場合は、それぞれの違いを理解することが大切です。
そこで今回は介護施設の中から、グループホームと有料老人ホームの違いを紹介します。どちらも認知症の方が入居できる施設ですが、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴を理解して、入居する方に合った施設を選びましょう。
目次
グループホームとは?
グループホームは認知症の高齢者を対象とした介護施設のことで、認知症の進行を抑えることと機能維持を目的とした施設です。最大9人の少人数制で、支援を受けながらなるべく自立した日常生活を送ります。ほかの入居者と役割分担を行い、無理のない範囲で家事などを入居者が自分で行います。
有料老人ホームとは?
有料老人ホームは、食事・介護・家事・健康管理のいずれかを提供している介護施設のことです。介護付き有料老人ホームの場合、介護スタッフが常駐して入居者の身の回りのサポートします。住宅型有料老人ホームは生活支援サービスを提供する施設です。介護サービスを希望する場合は、外部の事業者と契約して支援が受けられます。健康型有料老人ホームは、自立している高齢者を対象としていて、家事や食事のサポートを提供している施設です。
グループホームと有料老人ホームの違い
グループホームと有料老人ホームは同じ介護施設ですが、その性質に大きな違いがあります。どのような違いがあるのかを見ていきましょう。
運営母体
グループホームの運営母体は、社会福祉法人・医療法人・NPO法人・民間企業など、さまざまな法人です。一方、有料老人ホームの運営母体のほとんどは、民間企業となっています。
定員
グループホームは最大9人を1ユニットとしています。1つのグループホームは1〜3ユニットで構成されているため、定員は9〜27人です。
一方有料老人ホームは施設によって定員が大きく異なります。数人程度の有料老人ホームもあれば、100人以上が生活している大規模な施設もあります。
人員体制
グループホームの人員体制は、3人の利用者につき1人以上の介護職員(常勤1人以上)、1人以上の計画作成担当者、ユニット(最大9人)につき1人以上の管理者によって構成されています。2ユニット以上の場合、計画作成担当者のうち1人はケアマネージャーの資格が必須です。
一方、有料老人ホームは介護付き有料老人ホームなのか住宅型有料老人ホームなのかによって、人員体制が異なります。
介護付きの場合、100人の利用者に対し1人以上の生活相談員(常勤1人以上)、要介護・要支援の利用者3人に対して1人以上の介護職員、利用者100人に対して1人以上の計画作成担当者、1人以上の機能訓練指導員、専従の管理者で構成されています。また、看護職員の配置も必須で、入居者30人までに対し1人、それ以上は入居者が50人増えるごとに1人の看護職員を配置しなければなりません。
住宅型有料老人ホームの場合は、生活相談員・介護職員・看護職員・機能訓練指導員・計画作成担当者ともに配置基準がないという特徴があります。施設ごとに提供するサービスに必要な人数が配置されていれば良いという考え方です。
入居条件
グループホームの入居条件は以下のとおりです。
● 65歳以上
● 要支援2以上
● 認知症の診断を受けている
● 施設と同じ市区町村に住民票がある
● 集団生活を支障なく送れる
一方、有料老人ホームの入居条件は以下のとおりです。
● 60歳以上(介護付き老人ホームは65歳以上) ※施設による
● 自立〜要介護5 ※施設による
グループホームは一定の入居条件が明確になっている一方、有料老人ホームは施設ごとに入居条件が違います。また、有料老人ホームは認知症の方でも入居できますが、必須条件ではありません。健康型有料老人ホームは自立した生活が可能であることが条件となっています。
退去要件
グループホームの退去要件は以下のとおりです。
● 医療行為が必要になった場合
● 認知症の進行により、集団生活が難しくなった場合
一方、有料老人ホームの退去要件は以下のとおりです。
● 有料老人ホームで対応できる医療行為の範疇を超えた治療が必要な場合
また、どちらの場合も、暴力・暴言、自傷行為があった場合や、ほかの入居者の迷惑となる行為があった場合、重篤な病気などにより長期入院が必要になった場合、料金の支払いができなくなった場合は退去が求められます。
待機状況
グループホームは3ユニットある施設でも、最大27人しか入居できません。そのため、多くの施設は定員に達しており、すぐに入居できない施設も多いです。長い人では、数カ月程度待機することもあるでしょう。
有料老人ホームは施設数が多く、大規模な施設もあるため、グループホームと比較すると入居しやすくなっています。ただ、低価格な有料老人ホームは人気が高く、なかなか空きが出ない可能性もあります。
受けられるサービス
グループホームでは、食事・入浴・排泄などの日常支援や介護職員による健康管理などを行っています。また、リハビリやレクリエーションも実施され、認知症の進行抑制、改善などを目的としたサービスが中心です。支援を受けながら、自立した生活ができるようにサポートしてもらいます。
一方、有料老人ホームは介護付き有料老人ホームか、住宅型有料老人ホームかで受けられるサービスが異なります。ただ、どちらの場合も看護師が配置されているので、看護師による健康管理や服薬指導が受けられるのが特徴です。食事・清掃などのサービスが受けられ、介護付き有料老人ホームは介護も受けられます。
また、看取りに対応している施設も多いです。住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームは、レクリエーションや季節のイベントなどが充実しているのが特徴です。介護支援を受けたい場合は、外部の事業者と契約して支援を受けます。ただし、健康型有料老人ホームは介護が必要となると退去しなければなりません。
求める介護レベルに合った介護施設を選ぼう
同じ介護施設でもグループホームと有料老人ホームにはさまざまな違いがあります。どちらを選ぶか決めるときは、入居条件を満たしているか、どういった支援を受けたいかを検討することが大切です。求める介護レベルにどちらが合うか、また入居する方にどちらの施設が合っているかを判断できない場合は、公的機関やケアマネージャーなどに相談してみるとよいでしょう。