老人ホームの入居条件は?必要種類や入居審査についても解説
老人ホームへの入居を検討しているものの、施設ごとに条件がばらばらでわからないこともあるでしょう。そんな人のためにどのような入居条件があるのか、その種類をまとめました。また入居の際の必要書類として何をそろえたらよいのかや、入居審査の内容も解説します。
老人ホームには施設ごとに入居条件があり、その条件を満たしていないと入居は認められません。本記事では複数ある入居条件や入居時の必要書類、入居検査について解説していきます。
目次
老人ホーム入居の条件
老人ホームの入居にも条件があり、決して誰もが入れるわけではありません。老人ホーム入居のための5つの条件について詳しく解説していきます。
なお本記事でいう老人ホームとは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの公的施設のほか、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、シルバーハウジングなどの民間施設です。
要介護度(要支援や要介護のレベル)
老人ホームで受けられるサービスを決定するのは、介護保険制度で認定される要介護度(要介護状態等区分)です。結果として要介護度がいくつかで入居できる施設も異なります。
公的老人ホームの場合、主に介護型では要介護度1以上が入居条件です。特別養護老人ホームになると基本的に要介護度3以上の人しか入居できません。
有料老人ホームになると公的でも民間でも施設次第です。介護付きなら要介護度1以上が条件になったり、住宅型なら要介護認定そのものが不要だったりします。
老人ホーム入居時の年齢
老人ホーム入居の条件である要介護度を決める基準は、介護保険法第7条第3項で65歳以上と定められています。(※)そのため介護保険施設に入居可能となる年齢は、基本的に65歳になってからです。ただし要介護度を条件としていない施設の場合はこの限りではありません。
一方で介護保険法第7条第3項では、40歳以上65歳未満でもがんやパーキンソン病などの特定疾患者なら要介護者です。(※)そのため例外として有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、要介護度1以上の介護老人保健施設や介護医療院などの公的施設、要介護度3以上なら特別養護老人ホームにも入居できます。
※出典:e-Gov法令検索「介護保険制度」.
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000123, (入手日付2023-01-06).
必要な医療行為
老人ホームは医療機関ではないため、必要とする医療ケアの度合いによっても入居先が限られます。通常は看護師はいるものの最低限であり、医療ケアそのものもあまり想定されていません。そのため医師によるケアは望めないのが実情です。
もし医療ケアを望むのであれば、医師が配置されている介護医療院や介護療養型医療施設、介護老人保健施設を選ぶ必要があります。
また認知症などの特定の病気になった、医療ケアが必要な状態になったなど、状況が変わると退去を求められることも少なくありません。あらかじめ医療ケアも念頭に入れた施設選びが大切です。
保証人・身元引受人
多くの老人ホームでは入居の際に保証人・身元引受人を必要とします。施設の利用料の支払いや入居者のケアや治療に関しての取り決めと承諾、緊急時の対応など、施設側だけではどうしようもない事態を避けるためです。
通常では保証人・身元引受人は家族が引き受けます。しかしすべての利用希望者に頼める家族がいるとは限りません。数は少ないものの、保証人・身元引受人がいない人でも受け入れてくれる老人ホームもあります。ただし絶対数は足りていないのが現状です。
対処方法はいくつかあります。成年後見人などの法定代理人を立てる方法や、身元引受人の代行サービスを利用する方法などです。老人ホームによっても規定が異なるため、まずは問い合わせてみましょう。
収入や資産(支払い能力)
老人ホームにとって経営を圧迫する原因となるのは、利用料の不払いです。リスク回避のため、利用者の収入や資産などを確認するのが一般的です。長期にわたって利用料を確実に支払えるように、収入に関しても不測の事態も想定して予測する必要があります。
ただし支払いが滞ったからといって即退去になることはありません。猶予期間が定められていることが一般的です。猶予期間は契約書に記載されています。
入居費の支払い能力の点では、生活保護の受給者は審査に通りにくいのが実情です。しかし老人ホームの中には生活保護の受給者でも入居可能な施設もあります。必要経費は生活保護費で賄われますが、受け入れに制限が設けられている場合もあるため確認は必要です。施設に直接問い合わせてみると間違いありません。
老人ホーム入居の必要書類
老人ホームに入居するにはさまざまな書類が必要です。基本的な書類は老人ホーム側がそろえてくれますが、もちろん入居者側が用意しなければならない書類もあります。すぐに用意できない書類もあるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
老人ホーム入居前に読んでおくべき書類
老人ホーム入居前に読んでおくべき必要書類には、パンフレットや重要事項説明書、管理規定があります。パンフレットは入居先の選考に役立ちますが、熟読しておくべき必要書類は重要事項説明書と管理規定です。
重要事項説明書は老人ホーム側が施設の主要な情報をまとめたもので、契約時に説明が義務付けられていることが書かれています。入居希望先の現状を詳しく知るのに重要な書類です。契約書ではわかりにくい部分も書かれています。それでも疑問に感じたことがあれば、すぐに質問して確認しておくことが大切です。
管理規定には施設での生活に関した細かい注意点などが書かれています。提示されるのは入居契約を交わす際です。管理費やその他の細かい料金、食事に関する事項、サービスの内容、サービスの利用方法など、細かい部分まで書かれています。入居前に忘れず確認しておくことが大切です。
老人ホーム入居契約時の必要書類
老人ホームとの契約の必要書類は施設によって異なります。中には経費や日時がかかるものもあるため、事前に老人ホームに問い合わせると間違いありません。
必要となる書類には、診療情報提供書や健康診断書など本人の健康状態を伝えるもの、介護保険被保険者証、住民票や戸籍謄本、所得証明書、印鑑証明、保証人・身元引受人の印鑑証明などがあります。
診療情報提供書は主治医がほかの医師や医療機関に患者を紹介する書類です。症状や既往歴、服薬の内容などが記載されています。
健康診断書は入居者の健康状態を記した書類です。一般的には老人ホーム側が用意した書類に主治医が記載しますが、検査費用と書類の作成料がかかります。書類の作成に日数がかかるだけでなく有効期限が設けられているため、注意しましょう。有効期限は、一般的に約90日(約3カ月)です。
戸籍謄本や住民票が必要な場合は役場に出向く必要があります。戸籍謄本が必要な場合は本籍地の市区町村役場へ、住民票が必要な場合は住所登録している市区町村役場に行かなければ発行してもらえません。さらに代理人に頼む場合は委任状も必要です。
契約時に入居者本人や保証人・身元引受人の実印が必要な場合、印鑑証明が必要になることもあります。
ただしこれらの書類は必ずすべてそろえなければならないものではありません。老人ホームによって必要書類は異なります。紹介した書類の中には実費がかかるものもあるため、先に施設に確認をとってから準備することが大切です。
老人ホームの入居審査
老人ホームには入居審査があります。すべての人が受け入れてもらえるわけではありません。老人ホームの入居審査を解説します。
入居者本人と施設員との面談
老人ホーム側が入居希望者と直接会うことで健康状態や希望条件、人柄などを確認します。施設側の担当者であるケアマネージャーや看護師、場合によっては施設長が面談を行うこともあるので、本音で話し合うことが大切です。
もし入院中などで老人ホームに直接出向けない場合でも、ほとんどの施設で出張対応してくれます。要望や状況が正しく伝わらないほうが問題です。遠慮なく話しましょう。
書類審査
診療情報提供書や健康診断書を元に要介護度や健康状態に問題がないかが審査されます。施設のサービスで対応可能かや受け入れられる健康状態かが重要です。要介護度や認知症の有無、感染症の発見、必要とされる医療の内容によっては審査落ちになることもあります。
また経済状態も重要です。とくに保証人がいるかどうかが重要視される傾向があります。保証人を必要としない老人ホームも増えていますが、身元保証の方法を考えておくことが大切です。公的制度として成人後見人制度を利用したり、民間の保険会社を利用したりするのもよいでしょう。
【まとめ】
納得のいく老人ホーム選びをしよう
老人ホームに入居するためには基準を満たし、必要書類をそろえ、審査にも通る必要があります。一見すると複雑で準備も大変な一大作業と感じたかもしれません。
しかし老人ホームに入居するということは新たな生活を始めることでもあります。条件をじっくり吟味して、自分が納得できる老人ホームを選んでください。