老人ホームは、80歳以上の介護を必要とする高齢者のみが入れる施設と思われがちです。

しかし実際は介護が不要な自立した方でも利用が可能で、60代からでも入居できます。今回は、老人ホームの入居可能年齢や老人ホームを探すタイミングについて解説します。

老人ホームに入れるのは何歳から？

老人ホームに入るには一定の条件が定められており、入居可能年齢もその1つです。

まずは、老人ホームに入れる条件である年齢について解説します。

原則は60～65歳以上から

老人ホームに入れる年齢は、原則的に60～65歳です。

老人ホームの種類によっても入居可能年齢は異なり、民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などでは60歳以上ですが、グループホームや特別養護老人ホームでは65歳以上が一般的です。

ただし、すべての60～65歳以上の方が老人ホームに入れるわけではなく、入居希望者の要介護度も関わってきます。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では要介護認定を受けていない自立した方でも入居が可能ですが、65歳以上の高齢者のみを受け入れる老人ホームでは、要介護認定を受けて一定の要介護度以上でなければ入居できません。

60歳未満でも、一定条件の元で老人ホームに入居できるケースがあります。40歳以上で介護保険被保険者、かつ特定疾病があり要介護認定を受けている介護が必要な方は、老人ホームに入居可能です。

老人ホームの平均入居年齢は80代以降

老人ホームの入居可能年齢は60～65歳と述べましたが、実際の入居時の平均年齢は80歳前後で、入居可能年齢とはかなりかけ離れています。

なぜ老人ホームへの入居年齢がここまで遅くなっているのか、その理由として以下の2点が挙げられます。

日常生活が困難になってから入居を検討する方が多い

老人ホームに入居できる60～65歳の年齢は、まだ元気に自宅で過ごせる方が多いものです。

しかし年齢を重ねるにつれて徐々に肉体的な衰えが顕著になってくるため、日常生活を送るのが困難になってきたタイミングで、老人ホームへの入居を検討する方が多いことが、入居年齢を遅くしていると考えられます。また、認知症の症状や要介護度の進行も、老人ホーム入居を検討する理由の1つです。

たとえ高齢でも生活への影響がない状態だとしても、この先介護が必要となった場合に家族にかかる介護の負担などを考慮して、高齢者の方が自ら老人ホーム入居を検討するケースもあります。

病院または介護老人保健施設から直接老人ホームに入居するケースも

ケガや病気で入院をしていた高齢者の方は、退院後も引き続き医療ケアが必要なケースが少なくありません。

退院後に在宅での介護が難しい場合、老人ホームへそのまま入所するケースがみられます。

退院後、介護老人保健施設へ移れば介護やリハビリ、医療ケアが受けられます。

しかし、介護老人保健施設は基本的に在宅復帰を目指すための施設なので、原則的に3カ月で退去が必要です。そのため、介護老人保健施設を退去した後の在宅介護が難しい場合も、直接老人ホームへ入居することもあります。

老人ホームを探し始めるなら60代から動き始めるのがおすすめ

老人ホームへの入居は60～65歳から可能ですが、実際にはそのタイミングで入居を検討する方は多くはなく、介護の必要性を感じてから検討するケースが多くみられます。

しかし、老人ホーム探しは早いことに越したことはありません。まだ健康で自宅で生活できる方でも、入居可能年齢の60代から老人ホーム入居を検討するのがおすすめです。

60代になるとセカンドライフを送る場所を探す方が多いから

老人ホームは、施設の種類によっては自立している方でも入居が可能です。必ずしも介護を受けるために老人ホームへ入るのではなく、セカンドライフを充実させるための場所として老人ホーム入居を選択することもあります。

老人ホームでは、介護サービスの提供以外にさまざまなイベントやレクリエーションを行っています。施設によって実施される内容は異なりますが、お正月やクリスマスなどの季節のイベントが一般的で、レクリエーションを毎日実施する施設も少なくありません。さらに、入居者同士でのサークル活動が行われている施設もあります。

設備が充実した老人ホームであれば、映画館やジム、プールなどが使えることもあるため、自宅で過ごすよりも楽しいセカンドライフのために老人ホーム入居も候補に挙がるというわけです。

老人ホーム探しは意外と体力がいるから

自分で老後を過ごすための老人ホームを探すことは、簡単ではありません。

希望すればすぐに入居できるものではなく、1時間～1時間半程度の時間をかけて施設見学を行って契約内容を理解した上で契約を済ませる必要があるので、気力と体力、判断力が求められます。日本の平均的な健康寿命は、70代半ばです。健康な60代のうちであれば問題なく老人ホーム探しができることも多いですが、70代以降になると気力・体力的にも老人ホーム探しが厳しくなることもあるでしょう。

健康で体力がある60代から老人ホーム探しを始めていれば、気力・体力や判断力が十分で、支払いも含めてこれからの人生設計を立てやすいメリットがあります。

老人ホームも一つの選択肢。まずは今後の人生計画を立ててみましょう

健康に問題がなく、まだ自宅で不自由なく生活ができる60代の方は、老人ホーム探しなんてまだ早いと感じるかもしれません。

しかし、この先の人生で要介護状態になる可能性はゼロではなく、介護が必要となったときには自分で老人ホーム探しが難しくなっている場合もあります。今後の人生設計を含めて、60代のうちから老人ホーム探しを始めてみてはいかがでしょうか。