有料老人ホームで介護保険が適用になる範囲とは?適用条件や知っておくべきポイントを解説

介護を受けるために有料老人ホームに入居すると、要介護度に応じて介護保険が適用となりますが、一部のサービスは全額自己負担となる場合もあります。

そこで本記事では、有料老人ホームを利用する上で知っておきたい介護保険の適用範囲や適用条件、知っておくべきポイントを解説します。

介護保険の適用範囲とは?

有料老人ホームは介護保険 適用となる施設ですが、施設内で受けられるサービスすべてに介護保険が適用となるわけではありません。

入浴介助や排泄介助、食事の介護や機能訓練、生活支援などが介護保険の対象で、少ない自己負担で利用できます。一方で、入居にかかる費用や食費、日常生活に必要な雑費などは適用範囲外なので、全額自己負担が必要です。

つまり、介護認定を受けて有料老人ホームに入居していても、サービス内容によって自己負担額が異なるためどのサービスが介護保険適用となるのかを把握しておくべきでしょう。

また、介護保険は介護サービス以外にも介護タクシーの利用や車椅子、介護用ベッドなどの介護に必要とされる福祉用具にも適用される場合があります。

有料老人ホームの種類で異なる介護保険適用サービス

有料老人ホームは「介護付き有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「健康型有料老人ホーム」の3種類に分けられます。それぞれ利用できる条件や受け入れ可能な介護認定が異なるため、介護保険が適用となるサービスにも違いがあります。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームはその名のとおり 、介護を必要とする高齢者が介護や生活支援サービスなどを受けながら暮らす施設です。そのため、介護付き有料老人ホームで提供される食事介助や入浴介助などの介護サービスや機能訓練などが介護保険適用となります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、要介護認定を受けた高齢者に加えて介護を必要としない自立した高齢者も対象とした、生活支援を行う老人ホームです。
介護付き有料老人ホームのように施設側で介護サービスを提供しておらず、介護を必要とする入居者は別途介護サービスの利用が必要です。つまり、施設側で提供される生活支援サービスには介護保険が適用とはなりません。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは自立した高齢者を対象とした、食事や生活サポートなどを受けられる施設で、要介護認定を受けた高齢者は利用対象とはなりません。
要介護となった場合は退去が必要となるので、健康型有料老人ホームでは介護保険が適用となるサービスが ないといえます。

介護保険を適用するための条件

介護保険は、老人ホームなどの介護施設で介護サービスを受ける際に適用となります。では、介護保険を適用するためにはどのような条件が必要なのでしょうか。
まず、介護保険を適用するためには介護認定が必要不可欠です。介護認定とは、日常生活においてどの程度の介護が必要かを客観的に判断するものです。

部分的に介護が必要な要支援1、2と一人では日常生活が難しく支援が必要な要介護1~5の計7段階の数値で要介護度が示され、要介護度の数値が大きくなるほど介護レベルが重いことを示します。
有料老人ホームを利用する際は、要介護状態と判断された方に介護保険が適用されます。つまり、介護施設を利用する際に介護保険を適用するためには、介護認定を受けた上で要介護として認定を受ける必要があるのです。なお、1カ月あたりの支給限度額基準額は要介護度によって異なり、要介護度が重くなるにつれて限度額は高くなります。

介護保険を適用する上で知っておくべきポイント

介護保険は一人ひとりの要介護度に応じて適用されるため、すべての有料老人ホームの入居者に適用されるものではありません。前述したように、住宅型または健康型有料老人ホームでは、施設の利用に対して介護保険はカバーされず、全額自己負担となります。

必要以上のサービスは介護保険適用外になることも

介護保険は、介護を必要とする人が日常生活を送るためのサービスに対して適用されるものです。必要以上の サービスや介護とは判断できない内容に対しても適用外となります。例えば、話し相手をしてもらう、趣味のための外出付き添いなどはサービスを受けたとしても、全額自己負担です。

要支援1・2でも介護保険適用になるサービスもある

有料老人ホームを利用するにあたり、要介護認定された方が介護保険適用となると述べましたが、要支援と認定された方でも介護保険が適用となるサービスが、介護予防サービスです。

要支援とは、要介護の前段階の状態と判断されます。介護予防サービスとは、要支援の方の要介護度が重くなることを防ぐために受けられるものです。

長期間滞在する有料老人ホームでのサービスではなく、デイサービスなどへの通所、ショートステイでの短期入所などに適用されます。

高額の自己負担額を返還してもらえる制度

要介護度に応じて介護保険の自己負担額には上限が定められており、上限を超えた分は基本的に全額自己負担です。しかし、自己負担額が高額になる場合、「高額介護サービス費」や「高額介護合算療養費制度」という制度を利用すれば、上限を超えた額が返還されます。

この制度を利用するには各自治体への申請が必要に なり、いずれも所得や年齢などに応じて返還額が異なります。また、通常の介護保険と同様に返還対象外となるサービスもあるので、申請時に確認しましょう。

まとめ

介護保険は有料老人ホームに入居している間にかかる費用すべてに適用とはなりませんが、限度額をオーバーしても制度を利用すれば自己負担額が返還されることもあります。有料老人ホームを利用する際は介護保険制度を把握し、上手に制度を利用して金銭的負担を減らしましょう。

この記事を書いた人

近畿老人ホーム紹介センター編集部

近畿老人ホーム紹介センター編集部が監修するコラムです。 近畿老人ホーム紹介センターは、奈良県を中心に10年以上の老人ホーム紹介事業をおこなっている経験から、介護業界の情報を熟知したスタッフが揃っています。 老人ホームや介護施設への入居を考えるうえで役立つ情報をお届けします。 ・奈良県唯一の老人ホーム専門誌「シニア住宅情報」発刊 ・公益社団法人 全国有料老人ホーム協会 高齢者向け住まい紹介事業者 ・高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)登録紹介事業者

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