老人ホームの費用は年金で払える?年金だけでは払えない場合の対処法も紹介
介護を受けながら暮らせる老人ホームは、在宅介護をするよりも費用が高くなるものです。
年金のみでは老人ホームの費用が支払えない場合は、さまざまな制度を活用することで自己負担額を減らせます。
そこで今回は、平均的な年金受給額の基本情報や年金のみで老人ホームの費用をまかなえない場合の対処法をご紹介します。
目次
年金の受給金額はいくら?
日本年金機構によると、令和4年4月からの年金支給額(※)は、国民年金が満額の場合月額6万4816円、平均的な年収で40年間就業した夫婦の国民年金と厚生年金の総額が21万9593円です。
年金の受給額は一人ひとりの年代や現役時代の職業・年収などによって異なるのでこの額はあくまでも平均値ですが、実際にはこの額よりも少ないケースもあります。そのため、一定基準額以下の収入で要件を満たす方には保険料納付期間などに応じて、月額約5000~6000円前後の年金生活者支援給付金が上乗せされます。
※出典:令和4年4月分からの年金額等について|日本年金機構|日本年金機構
老人ホームで支払いが発生するものとは?
老人ホームの利用で支払いが発生するのは、大きく分けて居室や共用部分の利用、サービス諸費用の2種類です。
それぞれの内容について、詳しく解説していきます。
居室・共有部分
居室と共有部分は、一般的な賃貸住宅と同じように「家賃」として支払いが発生します。居室とは個人の専有部分にあたる部屋、共有部分は食堂や浴室などが該当します。
施設によって個室または複数名で使用する多床室のほか、グループホームなどでは少人数グループで介護サービスを提供するユニット型居室もありますが、居室の料金は利用するタイプによって変わり、多床室よりも個室、同じ個室でもユニット型の方が高くなります。
居室と共有部分の利用に加えて、共益費や水道光熱費などがかかる点も、賃貸住宅と同様です。また、入居した時点で敷金の支払いが必要な施設もあります。
サービス諸費用
サービス諸費用には、老人ホーム内での食費のほか、掃除や洗濯などの家事支援、買い物代行や日常生活における見守り、送迎サービスなどの生活支援などが含まれます。
さらに、要介護の方であれば身体介護や機能訓練などの介護サービスにかかる費用もサービス諸費用として支払いが必要です。
老人ホームの費用を年金でまかなえない場合の対処法
老人ホームで支払いが必要となるのはほぼすべての施設で共通していますが、老人ホームの種類や設備、立地などによっては費用が非常に高額になる施設も存在します。
比較的リーズナブルな費用であっても、年金だけでは毎月の費用をまかなえないこともあります。そのような場合に備えて、費用をカバーするための対処法を知っておきましょう。
生活保護を申請する
家族などからの支援が難しく、資産もない場合は、生活保護の申請を検討しましょう。年金受給者でも、年金のみでは生活に困窮する場合は、生活保護の申請が可能です。
ただし、生活保護受給者が利用できる老人ホームは、生活保護法指定の施設のみに限られます。
高額介護サービス費制度を申請する
介護サービスにかかる費用は、介護保険によって自己負担額が1~3割に抑えられます。自己負担額には上限が設けられており、老人ホームの利用でかかる介護サービス費用は自己負担額を超えることが決して珍しくありません。自己負担額の超過分を毎月支払うことが厳しい場合は、高額介護サービス費制度への申請ができます。
高額介護サービス費制度とは、介護サービスにかかった毎月の費用が自己負担額を超えた分の払い戻しが受けられる制度です。介護保険から超過分の費用を支給されるため、自己負担額を減らせます。
高額介護サービス費制度はあくまでも介護保険が適用される介護サービスのみが対象です。老人ホームの居住費や食費などは対象外となるので注意しましょう。
特定入所者介護サービス費制度を申請する
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院への入居またはショートステイで利用できる制度が、特定入所者介護サービス費です。
低所得者を対象に、居住費と食費が所得に応じた限度額以下に抑えられます。
家族でできるサービスは受けない
老人ホームでは、介護サービスのほかに食事や生活支援などのサービスが受けられます。すべてのサービスを施設で受けていれば家族の負担は減りますが、その分出費がかさんでしまいます。
できるだけ老人ホームにかかる費用を抑えたい場合は、病院への送迎や付き添い、散髪や買い物など家族でできるサービスは受けず、家族で行いましょう。
都市部以外で老人ホームを探す
老人ホームの費用は、施設の立地も大きく関わります。公共交通機関の便が良いなど利便性が高い場所や都市部に立地している老人ホームは、郊外にある施設よりも費用が高くなりがちです。
地域の違いによっても老人ホームの相場が異なり、ほぼ同じ居室やサービス内容でも、東京や大阪などの大都市にある施設と地方にある施設では、大都市の方が費用は高くなります。
安い老人ホームを探すなら、都市部から離れた郊外、または地方の施設も検討してみるべきです。
入居前から老後にかかる費用について計画を建てておきましょう
老人ホームで介護を受けるためには、費用がかさむことが少なくありません。年金のみではまかなえない場合でもさまざまな制度を利用はできますが、それでも余裕があるとはいえません。
介護が必要になってから老人ホームへの入居を検討するのではなく、介護費用を含めた老後にかかる費用として余裕をもって計画を建てておくことをおすすめします。