老人ホームが不足?施設に入れない理由や対策をわかりやすく解説

厚生労働省の発表によれば、日本は2065年に高齢化率が38%台に達するとされています。(※)高齢化が進む日本において重要になってくるのが老人ホームです。

しかし、老人ホームに入所できないケースがあり、施設が不足しているという意見もあります。

今回は老人ホームが不足しているとされる理由や入所を断られた際の対策を解説します。

出典:我が国の人口について|厚生労働省

老人ホームが不足しているとされる理由は職員の離職

厚生労働省「令和2年社会福祉施設等調査の概況」によれば、全国の老人福祉施設、有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外)は合わせて21,184軒となっています。それぞれの定員と在所率は以下のとおりです。(※)

定員 在所者数 在所率
老人福祉施設 158,379人 144,390人 91.4%
有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外) 609,472人 521,013人 86.8%

表からわかるとおり、老人福祉施設、有料老人ホームともに定員を欠いている状態で、老人福祉施設であれば13,989人、有料老人ホームであれば88,459人が入所可能です。

このような状況にも関わらず施設が不足している、施設に入れないとされる理由は、介護職員の離職率と関係しています。

出典:結果の概要|厚生労働省

介護職の離職率

厚生労働省による「介護労働の現状と介護雇用管理改善等計画について」では、2019年度時点の離職率は15.4%となっており、そのほかの産業の離職率(15.6%)と差はありません。

(※)それまでの介護離職率が以下のとおりなのを踏まえると、改善傾向にあることが読み取れます。

2015年度 2016年度 2017年度 2018年度
介護職 16.5% 16.7% 16.2% 15.4%
そのほかの産業 15.0% 15.0% 14.9% 14.6%

しかし、離職した職員の勤務年数をみると、約64%が勤続年数の浅い職員の離職となっています。

このように、介護職員が定着しないため受け入れ体制が整っておらず入所を断るというケースが、施設の不足というイメージにつながってしまうのです。

出典:介護労働の現状と介護雇用管理改善等計画について|厚生労働省

老人ホームは種類によって受け入れ体制が異なる

老人ホームと一概に言っても種類はさまざまあり、受け入れ体制や条件が異なります。そのため、条件を満たしていない場合は入所できません。主な施設を紹介するので、どの施設がどういった条件で入所可能かを把握しておきましょう。

介護老人福祉施設は要介護認定が条件

公的な福祉施設である介護老人福祉施設は、特別養護老人ホームの名でも知られています。介護老人福祉施設の入所条件は原則、要介護3以上の高齢者に限られます。

しかし、以下のようなケースは例外として入所可能です。(※)

  • ① 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること
  • ② 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
  • ③ 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
  • ④ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること

出典:介護保険最新情報|独立行政法人福祉医療機構

介護医療院は要介護1以上が対象

介護医療院とは介護だけではなく、医療も行う施設です。同施設は2018年4月に新設されていて、入所の対象は要介護1以上となっています。

介護老人保健施設は要介護1以上が対象

介護老人保健施設はリハビリによって自宅へ帰宅することが目的の施設です。入所の条件は要介護度1以上です。自宅への帰宅が目的のため、帰宅の目途がたったら退所する必要があります。

有料老人ホームは施設によって条件が異なる

有料老人ホームの中でも下記のように細分化されており、それぞれ入所の条件が異なります。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム

老人ホームに入れなかった場合の2つの対策

老人ホームに入れなかった場合、地域包括支援センターの活用や有料老人ホームの利用を検討してみましょう。

高齢者をサポートする地域包括支援センターに連絡

地域包括支援センターとは、各自治体に設置された高齢者向けの相談窓口です。同センターには、社会福祉士、ケアマネージャーといった介護の専門家が在籍しているため、老人ホームに関する不安や悩みが相談可能です。

地域包括支援センターでは専門家がヒアリングをしてケアプランを設計してくれます。

そのため、自分がどの施設に入所可能かを確認でき、施設の選択肢が増える可能性があります。

有料老人ホームを検討してみる

先述のように、有料老人ホームは施設によって入所条件が異なり、中には入所の条件に要介護を含めない施設もあります。

そのため有料老人ホームであれば、介護老人福祉施設などで入所を断れた方でも入れる可能性が高いです。

老人ホームは慎重に選べば入所可能

全国の老人ホームは満室になっているわけではありません。

それにも関わらず入所を断られてしまう場合は、自分がどのような施設に入れるかを、地域包括支援センターに相談してみましょう。

また、有料老人ホームであれば施設ごとに入所条件が異なるため、要介護認定を受けていなくても入所できる場合があります。

この記事を書いた人

近畿老人ホーム紹介センター編集部

近畿老人ホーム紹介センター編集部が監修するコラムです。 近畿老人ホーム紹介センターは、奈良県を中心に10年以上の老人ホーム紹介事業をおこなっている経験から、介護業界の情報を熟知したスタッフが揃っています。 老人ホームや介護施設への入居を考えるうえで役立つ情報をお届けします。 ・奈良県唯一の老人ホーム専門誌「シニア住宅情報」発刊 ・公益社団法人 全国有料老人ホーム協会 高齢者向け住まい紹介事業者 ・高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)登録紹介事業者

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